北アルプス・唐松岳に登る・その3下山編
またまた前回の続きです。
8月8日、12時30分、北アルプスの唐松岳(標高2696メートル)に登頂しました。
愛用のザック、カリマー・リッジSL30と記念写真。
実は側にいた方に、自分の写真も撮っていただいたのですが・・、恥ずかしいので掲載しません~。
年賀状の写真に使おうっと。
隣の山、五竜岳が迫力の山容を見せています。う~ん、行ってみたい。
けど、また次回ね、無理はいけません。
右側には、立山連峰が見えています。
山頂からは稜線が連なる、不帰ノ嶮(かえらずのけん)への縦走路が見えます。これを歩けば白馬岳まで行けますが、険しそう。
例年数名の遭難死亡者が出ております・・。私のような素人がうかつに踏み入れてはいけない、大変危険なルートです。
ちなみに三角点はこちら。ここを踏んでおかないとピークに到達していませんので、是非どうぞ。
さて、写真も撮ったし、北アルプスの山頂も堪能したので下山開始です。
他の登山者は山荘周りにザックを置いて来ているので身軽ですが、私は何故かザックを背負ったまま・・。辛い。
しかし、同じ様にザックを背負ったまま下る人もいます。「おお、やっと山荘が見えた」とか言っています。
そうか、この下りでザックを背負っているのは、さっきの不帰ノ嶮からの縦走路は山頂を通って下りますので、あの険しい道を歩いた者だけなのです!
くくく、私も登ってくる人たちに、北アルプスでもトップクラスの難所を歩いたクライマーに間違われているのね・・。
そう思うと気分がいい。
眼下に頂上山荘が見えます。下りルートは、そこまで15分ほどで下りれます。
さて、無事山小屋まで下りてきました。で、どうしましょう?
時計を見ると13時20分。う~ん。
単独の悲しさ、部屋に入っても18時頃の夕食まで何もすることが無い。お友達を作ろうかなあ・・と思っても私よりもかなり年配の方の密度が非常に濃い山です、話が合うかなあ。
小屋の周りで生ビールのジョッキを持って飲んでいる方がいますが、このテラス狭いし工事現場みたいだしカップルばかりだし・・。この工事、内装を改築しているようで、この部分は宿泊できなくなっている。その分混みそう・・。
この時間ならば、ひょっとして下山できるんじゃないか?予定よりも結構速く登ってしまったのです。私ったら登りは速いのかも。けど、大丈夫かな、雷雨は?
とりあえず、食堂の場所もわからないので、工事資材に腰掛、持参したアンパンを食べることにします。ちょっと寂しい昼食・・。
水が無いので、小屋の外にある自動販売機でミネラルウオーター1本300円を2本購入し水筒に移します。その時は気がつかなかったのですが、自然に自販機があったよ!こんな山の上に!高いけどビール売っていたし。自家発電とヘリ輸送のおかげです。
その分、1泊2食で9000円ですよ・・。むむ、このまま下山して麓の白馬で宿泊すれば同じ値段で泊まれるし、天然温泉の風呂も入れれば飯も豪華。いや、いっそ長野市まで戻ればビジネスホテルにさらに安く宿泊できるはず、と考えてしまいました。この瞬間、自分は「山男」にはなれないなと思いましたよ・・。
隣の若いカップルが下山するようです。おお、この時間で大丈夫なんだな!帰りのリフトの最終時間が心配なのですが。
キャンプ装備の若者集団が「リーダー、これから下山して帰れますか?」「下山のコースタイムは2時間30分、今は1時30分でリフトの最終は4時45分だから行けるだろう。」「余裕っすね。」と。
この会話を聞いて決心。降りよう。日帰りで降りれるよ、この山。
予定変更しての強行下山が、この後やはり大変なことに・・。そう、私は登りより下りが遅い(笑)。ここまで3時間半の登りで結構疲れていたのです。
最後は自己判断、空を見て入道雲はあるけど活発じゃない。経験からこの感じは雷雨はないだろうと判断。山小屋は混んでいるし、居場所もなさそうなのでや~めた。
下山決行!
カップル、キャンプ集団に続いて下山します。この時その他に降りる人はいないようです。
13時40分下山開始。
山小屋の裏手から降りると、麓の白馬が見えます。あそこまで無事降りれますように。
こう見ると、なかなか険しい。
すれ違いが出来ないので、上りのおば様が待っててくれました。
この幅です。足元を確かめれば大丈夫。疲れているので転んだりしないように。
このカーブでさっきのおば様とすれ違いましたが、振り返ってみたら疲れたのかそのまましゃがみこんでいたので、そこは落石が危ないですから、速く通ったほうが良いですよ!と声をかけました。
さらに、単独の若いおねいさんとすれ違いました。しまった!山小屋に泊まるのか?お友達になるチャンスだったのに~。うわーん、やっぱりいるんだ単独のおねいさん。夕食一緒にどうですか?あれ奇遇ですね、寝床が隣なんて・・今夜は混んでいるからね。眠れないの?星でも一緒に見ないかい?もう妄想が止まりません。戻って山小屋に泊まるか、やっぱ。
いや・・・、もうここまで下りたし、ダメだよ。悔しい・・。後ろ髪を引かれる思いで下山を続けます。
2番目の狭い場所。桟道があるので安心です。恐い方はクサリもありますので大丈夫。
こういう場所は、転ばないのが肝心です。
若いご夫婦が3歳くらいのお子さんを背負って上って来ました。お母さんが背負っているけど凄いなあ。お子さんが「こんにゅちは~」と挨拶を返してくれたのでびっくり。
さらに下ったガレ場で、老夫婦に声をかけられます。??何故私を知っているの?行きのゴンドラで同じシートに座った奥様でした。え?もう登ったんですか?と驚かれてしまった。ええ、山頂まで行って下山ですよ、というとすごい速いですね~と感心されてしまった。スゴイのか!?私ったら速いの?そういえばこの山を日帰りで登れるのは健脚な人なら出来る、とガイドブックにあったなあ・・。私は健脚なのか!妙な自信を得てしまいました。あと30分くらいで山荘ですよ、と励ましますが本当はもっとかかりますがね・・。
いつのまにやらキャンプ集団はかなり先に行ってしまいました。流石は山慣れしている人たちは違う。あの重い装備を背負ってスイスイ行ってしまう。
ハイマツ帯を歩きます。
前はカップルになりました。最初から日帰り装備でザックは二人で一つ、登りは彼氏が下りは彼女がザックを背負っています。今時な感じですね・・。
そこでキャンプ集団はザックを下ろして休んでいるので追い抜きます。
まだ結構登ってくる人がいます。この辺だと流石に登ってくる人にもう少しですよと言い難くなる。
子供は皆辛くてぐずっている・・。無理に連れて来られたのかなあ・・。すごいね~、もう随分登ったねえ、頑張れよ、っと励ましてあげます。
休憩場所の扇雪渓でカップルが休みます。後から追いついたキャンプ集団は雪渓を見ると「リーダー、尻セードーをやりたいです!」「おお、シートがあるからやるか!」
雪渓を尻で滑って遊ぶつもりですね。リフトの時間に間に合うようにやってね・・。
私はリフトが心配なので休憩もせずに下山続行!
ちいさな雪渓が残る沢沿いに下ります。
ここからは林の中で涼しくて快適。一人でとても静かな歩きです。
右手には五竜岳が見えます。
登山ルートの遠見尾根もなかなか大変そうな道です。
鹿島槍ヶ岳は雲の中で見えません。
林が途切れると右手側は沢に落ち込んでいきます。
ダンボールがあれば滑って遊べるか?いや、止まらないだろうね・・。二度と上がって来れないかも。
足元を見ながら慎重に歩きます。
道の周りはお花が沢山咲いています。行きは余裕が無かったけど、帰りはお花を眺めながら下ります。
下ノ樺はダケカンバの巨木がうねって森を作っています。しっとりとした空気がたまらなく良い。
この森の中、道の先からふっと登ってくる人が現れると少し驚く。
熊かと思った・・。
こんな時間に登ってくるんだ。
集団でも黙ってうつむいて登ってきます。凄く辛そう。そんなゆっくりペースじゃ、山荘に着くのは6時近くになっちゃうんじゃないかなあ。もう少し早く登り始めればよいのに。
ふ~、森に元気をもらいました。
尾根歩きも開放的で良いけど。森の中って安心感があって落ち着くのですよ。
ああ、夏って感じの木漏れ日の空。
森を抜けると左側に白馬三山が姿を見せます。行きより天気が良いよ・・。
あんなところ縦走してみたい。
おお、八方池が見えました!登山ルートの終点。は~、っ安心しました。ここから先は観光客も歩くルートですから。つ、疲れましたよ。
池の周りにはまだ人がいるので、リフトの時間は大丈夫。
真ん中は結構深そう。
魚のようなものが跳ねていますが、どうやらちいさなサンショウウオのようです。
やっぱ石を投げたくなる人が多いのかな・・。
ここは観光に良いかも。夏は日傘を持ってきたほうが良いでしょうね。
右側の山が下ってきた丸山です。
おお、左にこの時は気がつかなかったけど、鹿島槍ヶ岳が写っていました。
さて、下って第二ケルンです。立派なトイレが見えました。もし、う○こが漏れそうならここで一気に気が緩むでしょうね肛門も。
水道から水が溢れていたので、タオルを濡らして首に巻きます。
背中に陽射しがすごいのです。
頭がボーっとしてきたので応急処置。
暑い、とにかく暑いよ・・。
この先は一般の観光道。行きとは違う迂回ルートを歩きます。こちらのほうが歩きやすそうだったから。
雪渓が残る湿地を階段や木道で降ります。
けど、岩がありまして、足元がヘロヘロなので厳しい。
岩で何度も滑ってしまいました。
お、下界が見えるよ。もう少しです。もう少しでリフト乗り場です。
ううう、足が前に出ないよ。
やはり日帰りは大変でした。
暑くて、もう疲れましたよ。
無理はいけません。山小屋に泊まって1泊2日のプランをお薦めします~。
着いた~!リフト乗り場、八方池山荘前に到着です!16時です。2時間20分かかりました。ま、コースタイムどおりですか。
お腹が空いた。けどソフトクリームしかないよ。
残っていたアンパンを食べます。
座ったらなかなか立ち上がれない。さっきのカップルが下りて来てて抜かしていったので、ようやく立ち上がりリフトに乗ります。
下りのリフトは恐い!
発進する時、空中に投げ出されるような感覚。
前に手すりがあるのでまだ安心ですが、無ければ急に止まったら落ちるよ・・。
スキーじゃあ下りは乗らないもの。未体験な感覚です。
リフトを降りて、次のリフトに乗り換え。そこには、長野オリンピックのアルペンスキー滑降競技のスタート台がありました。スタートするといきなり落下ですよこれ。
次のリフトも恐い~!
下に街が見えるのが恐い。
これは高所恐怖症の人は難関でしょう。
空中を飛んでいるようで楽しいですけどね~。
最後はゴンドラです。この時間に下山する人は少ないのか、一人で乗れました。
白馬の村がおもちゃみたいに見えます。
車をとめた駐車場も見えます。
ふう、麓の駅に着いた。16時30分。唐松岳より無事下山できました。日帰りで登ってしまった・・。
駐車場までの道のりが辛い。
足をズリながら、途中コーラを飲みながら歩きます。
つ、着いた・・・。
愛車ポロの元に戻りました。
北アルプスを登って、無事に生きて帰って来れましたよ~。それが嬉しくって。
第二郷の湯です。本日半額の日とのことで250円で入れました。普段は500円なのね。
これが素晴らしい温泉でした!100%掛け流しの天然温泉です。加温も加水も循環もなし。50度の源泉を適温に下げて供給しているらしい。
アルカリ性単純温泉ですが、なかなか浴感がいいのです。私の大好きな透明なのに硫黄の香りがとても濃いのです。アルカリ性ならではのスベスベ感が抜群。とても気に入りました、こんなに良いお湯が出ているとは、白馬温泉、要チェックでした。
六角形の木造の浴槽。陽が差し込む窓の多い浴場は雰囲気満点。常連らしい5人ほどがいらっしゃいましたが、私が湯船に入ると、上がるか・・・、と言って全員出て行ってしまった。余所者だよどうせ私は・・。しかし一人で西日の差し込むお風呂を堪能しました。素晴らしい!
駐車場に戻って車の中で仮眠して、宿でも探すか、と思いましたがちっとも眠れません。体はヘロヘロですが、頭は興奮していて眠れないのです。
ん?
これなら今日中に運転して群馬に帰れるんじゃない?
出発!
これぞ本当の群馬からの北アルプス日帰りです。
道の駅白馬、で夕食。もうお腹がぺこぺこ。ここは去年、自転車レース&キャンプの時に寄った所。その時と同じ白馬豚の山賊重を食べました。
これがもう一度食べたかったんだな!
旨い!白馬豚は流石は地豚。ぴりからの味付けもグー。1000円です。旨かった。
で、道の駅で少し休んで出発。オリンピック道路を走り一度も休まず長野市内から高速に乗りました。
佐久のサービスエリアでさすがに疲れて最初の休憩。寂しいくらい人がいなくて、車の中で少し寝てしまいました。
あとはひた走り、10時には帰宅。
群馬を朝出て、唐松岳登って、夜には帰宅。北アルプス日帰り登山これで完成。
お泊り道具を背負って登らなくても良かったねえ。
やはり疲れました。
次は、どこか空いている山小屋でのんびり泊まりたいです。
~データ~
「唐松岳」標高2696メートル(単独)
2008年8月8日(金) 晴れ
群馬県高崎市自宅5:00出発
白馬第三駐車場8:00~ゴンドラ乗車8:30~八方池山荘9:00~第三ケルン9:50
唐松岳頂上山荘12:00~唐松岳頂上12:30
唐松岳頂上山荘13:40~16:00八方池山荘~16:30ゴンドラ下車
自宅22:00到着
装備
ザック:カリマー・リッジSL30
登山靴:ガルモント・ピナクルGTX
服装:パタゴニア・キャプリーン1(半袖)、ノーザンフィールドストレッチパンツ
雨具:ノースフェース・レインテックスフライト(携帯)
水筒:キャメルバック0・75L、ナルゲン1L
その他宿泊用具一式
では、また。
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