アニメ・コミック

2009年1月30日 (金)

漫画「ソムリエール」&オー・ボン・クリマ

最近ワイン漫画「神の雫」について書いていますが、他にもワイン漫画が連載中です。

Ass1 ソムリエール 1~8巻(続刊)
集英社・ビジネスジャンプ連載。
原作:城アラキ 漫画:松井勝法

ワイン漫画というイメージで見ると、とても可愛い画です。

「あらすじ」

主人公「樹(いつき)カナ」は、幼い頃両親を亡くし、スイスアルプスの麓にある孤児を集めた施設で暮らしている。その施設は、ジョンスミスという、会ったことも無く誰なのかもわからない人物から援助を受けていた。カナはその人物の援助によって大学の醸造科を卒業、施設のファームでワイン作りを行い、フランス語英語が堪能、ワインの深い知識を持っている。
謎の足長おじさんジョンスミス氏より手紙が届く。東京のとあるレストランで働いて欲しい。そうすれば施設の援助は続ける。
カナは東京のレストラン「エスポワール」のフロアで働き始める。かつて天才ソムリエと呼ばれた支配人片瀬の元で、ソムリエール見習いとして。そこに来る一癖ある客たちに、これはというワインを勧める日々。

Ass2 一話読みきりで一つのエピソード。そこにメインのワインが1本紹介されます。人情話、恋愛話と、なかなか泣かせる話も。けど客はなんか屈折しているんですねえ。
そして、カナちゃん。可愛いのですが強情。ワインのことになるとむきになる。そして、お客様に飲んでもらいたいワインがありますと、頼みもしないワインを飲ませます。そのワインについてうんちく、上から目線の説教と、ちょっとやりすぎなのでは?熱心なのは解りますが、客は引いちゃうよなあ。レストランで若い娘さんに説教されたくないよなあ・・。何故か客は旨いワインとカナの話に感動しますけどね。

カナの亡き父親の謎。ジョンスミス氏は誰なのか?1巻でジョンスミス氏と思われる人物が出てきますが、後に片瀬の本棚から「足長おじさん」の本とカナがニューヨークのジョンスミス氏に宛てたエアメールがあった・・。

各話の終わりに、テーマのワインの詳しい解説が載っていて、ワイン好きには嬉しい限り。また、そのワインも買えそうな価格の物が多いのです。さらには巻末に、話のテーマに沿った用語説明、解説が詳しく書いてありますので、ワインの読み物としても楽しめます。

Ass3 さて、ではこの漫画に出てきたワインを今夜は1本飲みましょう。
オー・ボン・クリマ ピノ・ノワール サンタ・マリア・ヴァレー 2005年
私は2007年を飲みます。3000円くらい。

カリフォルニアのワインです。ブルゴーニュで使われるぶどうピノノワールの赤ワインです。

ピノノワールはブルゴーニュ以外の場所での栽培、醸造が難しいといわれていますが、カリフォルニアでどうでしょうか?

飲んでみます。

お、いい香り。イチゴの香り。ピノノワールの香りです。
「お・・、おおお・・・。う、旨い。
ブルゴーニュワインの味だ。けどそんなに酸味が来ないし、素晴らしく柔らかい口当たり。口に含むと薄いのに果実の旨味が拡がります。赤果実、サクランボ。渋みも強くなく、余韻も短いながら綺麗に拡がります。

これは飲みやすいし、旨味があります。

30分後。うー、甘い。イチゴのニュアンスが強くなる。酸味、甘み、渋み、苦味のバランスがとても良い。近づきやすい。これは美味しい・・。」ポイント89点。

Ass4 ソムリエールの4巻の第20話「華やかな味わい」に登場。

この話のあらすじ
旅客機のCA・礼子は仕事に疲れていた。友人カナにレストランの予約とワインを2本オーダーする。「エスポワール」に礼子は妻のある不倫相手と訪れる。カナは2本のカリフォルニアワインを用意した。それをブラインド(ボトルを見せない状態)で飲んでもらう。不倫相手は1本目は強烈に旨いが2本目は平凡だという。しかし、再度飲んでみると、1本目は最初のインパクトが無い、2本目は最初より美味しく感じるという。

1本目はメルヴィル。2本目は今回飲んだオーボンクリマ。
メルヴィルは華やかだが長く付き合うタイプじゃない。オーボンクリマは地味だけどゆっくり良さが伝わる。カナは、メルヴィルは完熟したぶどうから高アルコールのワインを造る。飲むと最初にインパクトが強くコクを感じる。オーボンクリマはアルコール度数を抑えて、食事と楽しめる飲み飽きしないワインを造っているのだと。カナは美味しいワインには畑が幸福であることが必要であるという。礼子は不倫相手との別れを決意する・・。

そんな話ですけど・・。

Ass5

このオー・ボン・クリマ、「ソムリエール」によると、造っているジム・クレンデネンという人は、以前に書いたことがあるブルゴーニュの神様アンリ・ジャイエが師匠だとか。このボトルは最も安いけどジャイエのスタイルが感じられる・・。おお、これがジャイエスタイルなのか!

どうやらこの人は評論化ウケをするワインが嫌いらしい。

ワイン業界にはロバート・パーカーという評論家がいて、この人が100点満点でつける点数がそのワインの価格や1年間の売り上げを左右するという。

うへえ、物凄い数のワインがあるのにたった一人の点数でワインの評価が決まってまうのか。確かにネットショップを見ると「パーカー92点!」とかそんなのばっかだし。この百点満点採点私も真似してやってますけど、何の影響力も無いよ(笑)。

で、その結果どうなってしまったかというと・・。ワインの造り手たちが、パーカーさんが旨いと思うワインを造るようになってしまった。パーカーさんは一日に何十本ものワインを連続して口に含んでクチュクチュしてぺっと吐き出して○○点・・・。とやるわけです。

だから一口含んだ時にインパクトのある味を目指した。高アルコールで旨味感があって複雑実を与える樽の香りが効いたワインです。1杯目はインパクトがあるが呑み続けると飽きるらしい。このままじゃあ、世界中のワインがその方向の同じ味になってしまう。

Ass6 このジムさんとかがそれに気が付いて、アルコール度数を抑えて、呑み飽きのしないワインを造った。ブルゴーニュも一時期そういう濃厚なワインを造りましたが、最近は過ちに気が付いて薄くて旨いワイン作りをしているそうです。

オー・ボン・クリマのピノ・ノアールは普及品でも5年間はボトル熟成してから楽しみたい、って書いてあるけど2年目で飲んじゃった。それでも旨いよ、これ。

この漫画、ためになるなあ・・。

では、また。

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2009年1月25日 (日)

漫画「同・級・生」柴門ふみ

奥さん!
毎日忙しい奥さんっ!

家族に囲まれて幸せな毎日を送る奥さん・・。
けど、ふと学生時代に付き合っていた恋人に会ってみたい、そんなことはありませんか?
さらに記憶を辿れば、もう一度別れた恋人とやり直したい、青春時代にそんなことを思ったことがありませんか?
そんな奥さんに読んで欲しいマンガがあるんですよ・・。

Ad1 同・級・生

柴門ふみ (さいもんふみ)
小学館
ビックコミックスピリッツコミックス1~2巻各880円
80年代の作品です。漫画もとうとう80年代シリーズに(笑)。もう何度読んだか、ご覧の通りボロボロですよ。

小学館文庫全1巻710円もあります。

絶版になったのか、もう新品で見つからないんですよ。中古屋さんをまわればあるかもしれません。

おっと、ここにあった!BOOK SHOP PS 小学館の通販ショップです。以前ここで絶版本を買ったこともあり、小学館の本ならここに来ると良いかも。ああ、アマゾンにもあと一冊ありますね。絶版直前でしょうか(笑)。
あらすじは、そこに詳しく書いてありますが・・。

「あらすじ」 
名取ちなみと鴨居透は同じ大学に通う同級生。付き合って3年の仲だ。就職活動時期に突入し、鴨居とちなみは市場 調査会社でアルバイトを始めるが、鴨居はちなみが課長の海江田の話ばかりをするのが気に入らない。早く大人になりたい、と鴨居はちなみとも距離をおき、会 社訪問にいそしむ。その後、ふたりの別れはあっけなくやってくるのだった(第1話)。▼社会人となって1年目の秋がやってきた。鴨居はちなみのことが忘れ られず、意を決してちなみの自宅に電話をかけ、会う約束をとりつける。久しぶりに会ったちなみは仕事に打ち込んでおり、鴨居は彼女の心に入り込む余地はな いと感じる(第2話)。 心を残したまま別れた鴨居とちなみ。そして鴨居は社内の佐倉杏子とつきあいだし、ちなみは上司の海江田に魅かれるも、叶わずに鴨居の影をひ きずり続ける。そしてちなみは親の勧める見合いをすることを決めるのだった。ちなみが見合いをした相手は飛鳥浩史。大手建設会社に勤務する30歳だ。秋に ニュ-ヨ-クに転勤することが決まっており、彼はそこに妻を連れていきたいという。飛鳥と鴨居の間で揺れるちなみの心。だが結婚式を目前にして、ちなみと 鴨居はついに互いの気持ちを確認しあい、ベッドをともにするのだったが…。

コレTVドラマでもやったような。確か飛鳥さん役が、当時売り出し中でトレンディードラマ俳優といわれていた石田純一だった気がする・・。

学生時代の彼女と別れた→社会人になって会いたい→電話して会う→会ったけど向こうはそっけない→その後新しい彼女が出来てしまう→次に再会した時、本当は元彼女も自分を忘れられていないことに気が付く。
さあ、どうしましょう。私も似たことを何度かやりましたが、だって忘れられないんだもん・・・、で、彼女がそっけないところで終り、やっぱりうまくいきませんでした。

この漫画、その後ちなみがお見合いし、結婚することになったのにまた再会してしまうのですね。そしてとうとう・・。
私こういう漫画を「元の恋人とやり直し系」漫画と命名し、結構好きなので今後もご紹介します(笑)。
結果、この漫画の凄いことは、最終回で結論が出る。それが感動的。こうでなきゃ。以前ここで紹介しましたイカロスの山の最終話 のようなことにはなりませんから!ちゃんと大人の選択をします。もう学生じゃないんです。成長していたんですよこの二人は。最後のちなみが鴨居に宛てた手紙は、ああコレでひとつの青春が終るんだなって思いました。

この漫画、私恥ずかしながら、以前別れた元彼女(
他の男と結婚する直前)に無理やり会って、渡したことがあります。どこにも売ってなくて本屋で取り寄せたのを。それ程読んで欲しかった。
ちゃんと現実的な潔いラスト、安心して是非読んで欲しいな~。

柴門ふみは、「PS元気です俊平」から好きでした。男性誌に書いていますが女性ファンが多いらしい。最近は上手じゃない画がさらに荒れてたのであまり読まなかったけど、ちょっと可愛い画になりましたね。昔から素朴な画です。ダンナは「島耕作」描いている人ね。

Ad2 新・同棲時代1巻~2巻。コレも面白い。男と女のいい話が読みきりで。

コレはもう新品はないか。中古本屋さんで見かけたら是非読んで欲しいなあ。恋愛の素敵なお話がいっぱい。











Ad3 家族の食卓1~3巻。これもいいよ~。家族に起る様々なドラマを読みきりで。

ご家族をお持ちの奥さんには、こちらのほうが面白いかと・・。
子供がまた良い役割を演じるのですよこの話たちは。

一巻後半の連作は傑作です。
80~90年代初期の漫画は絶版ですよね・・。
まだ3巻持ってないんだけど入手しなければ。中古本屋めぐりをまたしなくちゃなあ・・。

この80年代後半は、柴門ふみがのっていた時代。「東京ラブストーリー」は大ヒットしましたが、私あんまり好きじゃないんです。ちょと感情移入できなくて・・。今回紹介する3作は、身近な題材で、ホントよい話ばかり。本屋さんで見かけたら是非読んでくださいませ・・。今入手しないともう無くなってしまいますから。

では、また。

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2009年1月17日 (土)

映画「櫻の園」・漫画「櫻の園」

昨年の11月末に映画「櫻の園」を見ました。

実は、また職場の同僚さんに映画のただ券を頂いてしまったのです。Uさんありがとうございます!
その前に券を頂いた時には、デトロイトメタルシティ という映画を見てしまった。原作が好きだったもので。
今回は時期的にコレという映画が無かったのですが、原作の漫画を読んだことのある「櫻の園」にしたのです。

櫻の園の公式サイトはこちら あらすじ動画が見られます。

いや、私別に、女子高生マニアじゃありません(笑)。制服マニアでもないし(OL様を除く)。ただこの映画には興味があった。
1)原作の漫画が好きだ。
2)18年前に映画化されたときはとても評判がよく、同じ監督が再映画化した。
3)今回は評判がよくないらしい(笑)。
という理由で興味を持ちました。

はっきり言って、折角無料券を頂いたチャンス、普段見ない映画を見るチャンスです!

Asn3 あらすじは、思い出して書いていますが、ホント上の公式HPを見てもらえばわかりやすいです。主人公の女子高生が、バイオリンの道に挫折して転校(なんで?)、櫻の綺麗な名門女子高校に入学。お嬢様学校過ぎて違和感を感じてしまう。
ふと目に入った旧校舎に忍び込み、そこで「櫻の園」という演劇の台本を発見する。そこは演劇部の稽古場。当時の衣装や小道具も発見。周囲を誘ってこっそりと練習を始める。しかし、その「櫻の園」は以前は上演されていたが、ある年、演劇部の事件により、それ以降の上演は禁止されていたのだ。その時の演劇部員が担任の教師と主人公の姉だった。学校に練習がばれて、中止されられてしまうが・・。という設定。

原作とは設定の一部を除いて、かなり違う作品になっています。

原作でもそうなのですが、さんざん盛り上げて、さあ、本番の幕が上がります、というところで物語は終わります。コレに、え?と思う方も多いと思いますが、それがこの作品に一番良いところなのです。

で、世間の評価が悪い。要は、出演の女優さんがオスカー何とかという事務所の所属ばかりで、それの宣伝映画だみたいな言われ方です。キャストが悪いということ。
それに出演者の演技が酷いということですが、私は、あの人たちのぎこちない演技が、かえって演劇部員という演技をリアルにさせてよかったと思う(笑)。一番演技力があったのは校務員のおじさん役の人でした・・。

前評判どおり、劇場はガラガラ・・。観客は6名でした。イオンシネマ高崎は全席指定ですが、私はいつもどおり一番後ろの真ん中ね。泣いているのがばれないように。男性は私だけ。女子高生マニアだと勘違いされなければ良いのだが・・。

さて、見た感想ですが、良かった(笑)。私、いつもながらですが何度も泣いてしまいましたよ・・。沢山の人が頑張って作った映画です、そんな悪いわけないです。ちゃんとしてますって。色眼鏡で見なけりゃ大丈夫。ただ・・、TVドラマみたいだなあ。邦画を見て感じるのは、これTVドラマでいいじゃんていうのが多い。せっかく劇場で見るものは、やはり大掛かりな撮影をして迫力のある映像が見たい。エンターテインメント性かな、洋画との違いは。お金出してみるものでは・・。せめてDVDクラスかなあ。
けど作品は悪くないです。ラストに向かっての盛り上がりは感動的で、気持ちよかったです。良い人ばかりの、綺麗な作品です。

主演の女優さんは、可愛いけど、ちょっとオーラが足りないというか。あの演技であのキャラは難しかったと思う。主演にあの設定のキャラというのも魅力に乏しい。
で、めっけもんが二つ。

Asn1 目立っていた女優さんが、モデルの杏さん。この人は良かった。モデルをやっている人ですが、海外のコレクションでもモデルをやってる有名な人。
スクリーンで見て、あ、この人知っていると。以前山の雑誌「ヤマケイJOY]の08年春号に載っていたのです。その記事は、殆んどはじめての山登りで友人に連れられて、北アルプスを縦走していた。しかも西穂高からジャンダルム~奥穂高~北穂高という屈指の難ルートの縦走に成功していた!ホント毎年何人かの命を奪う恐いコースなんですよ。そこをこんな綺麗なおねいさんが歩いたなんてスゲエ、と感動したことを思い出しました。スクリーンでもこの人が一番存在感がありました。

さらに輝いていた女優さんが、寺島 咲さんです。地味でしっかりした生徒、という役柄を演じていました。この人が地味なキャラクターなのに輝いていたのだ。この人は、ちょっとこれから伸びるかもしれません。私好きなタイプかも・・。
この寺島咲さんと杏さんがストーリーで絡むのですが、主人公のストーリーを差し置いて原作漫画にあった重要なシーンを演じます。女の子同士の感情みたいな。この二人が劇中で演じる役どころがイメージと逆なのが面白い。男装した寺島咲がドレス姿の杏と記念写真を撮るシーンは感動的。原作を読んでいると、この辺の微妙な心理がわかるのです。

全体に桜が効果的に使われています。満開の桜。櫻の頃には必ずある春の嵐、花散らしの風。そして散ってしまった後の櫻の樹。最後のシーンで小道具の手作りの花びらが風に舞うシーン。櫻のビジュアルがとても綺麗です。DVDがレンタル開始したら見ていただきたい作品ですよ。
90年の前作も、手に入れて見たいと思っています。

で、原作の漫画です。
コレはもう傑作中の傑作だと思っています。吉田秋生は大好きな漫画家ですが、私はこの作品が一番好きです。

Asn2 まだ絶版じゃないと思うのですが、この文庫サイズのコミックス、本屋では見なくなりましたね。古本屋を巡れば出会えると思います。

1985~86年の作品。この作家は当時、少女漫画誌ではあまり見なかった男子の生理を描写していたと思う。性に対して表面的じゃなく心理的なところを描いていたし、絡む男の心理や体のことを描けていたので人気があったと思う。この人のほかの作品もまた書きます。

演劇部で上演するチェーホフの「櫻の園」に出演する女子高生の話。「花冷え」「花紅」「花酔い」「花嵐」の4話の各読みきりで、また話が繋がっていきます。
あとがきでこの映画の監督が書いていますが、第1話が初体験、第2話がファーストキス、第3話が初恋の思い出、第4話が同性への片思い、と恋愛度は段々希薄になっていきます。なのにどんどん話は濃くなっていく気がします。

どれも、すんなり恋愛に入り込めない心理や、女になる過程のトラウマからの脱却が描かれていきます。第1話の、姉の最初の男が忘れられないという独白から、自分も初体験の男といつか別れても、この初めての日はずっと忘れない、という話。私、いろいろな女の子に聞いたのですが、昔の男のことなんかあっさり忘れる、みたいなこと女性は皆言うんですよ・・。なので、こんなことを昔の彼女は思っていてくれるのだろうか?と嬉しい期待を男としては持ってしまう話でした。
第2話、3話と、女の子が気持ちの中で女性になっていく描写がいい。第4話が一番良くて、女の子同士で、校舎の屋上の空バックの背中だけの描写で「わたし倉田さん好きよ わたしじゃだめかなあ」「ううん だめじゃない」というシーン。シンプルだけどとてもよい描写です。
原作と今回の映画は設定も話もずいぶんと違うのですが、この4話のコンセプトは継承されています。

80年代の感覚といえばそうですが、この雰囲気はアリ。映画は現代に置き換えていますが、この80年代のまま閉じ込めておきたいと思えます。

桜の咲く様子が時間軸となって表現され1話から4話まで見事に繋がっていきます。この漫画、少女漫画の100選があったら、絶対に入れたい漫画です。

では、また。

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2009年1月12日 (月)

正月休みに読んだマンガ

いや~よく寝た。正月休みとこの3連休、徹底的に休みました。
殆んど寝ていた、まさに寝正月です。どこにも行きませんでした・・。
ただぼんやり過ごすっていうのも良いものですね。

起きている時は何をやったかというと、マンガを読んでいた。
さっき数えたら、年末に買ったマンガの単行本は44冊でした!
9割が中古本ですけど、よく読んだなあ・・。

では、レビューを書きます。
ここに書いた以外のは、また個別に後で書きます。

Am1 Dr.コトー診療所1~5巻

いまさらですが・・。これは今まで読んでいなかった。TVドラマでやった原作ですので、ご存知の方も多いでしょう。私TVのほうはあまり見なかった。再放送で2~3回見たけど、結構面白かったので、原作を読んだら面白かった!
画が、可愛くてよい。スーパードクターモノのマンガは多いけど、これはいい!是非、TVドラマで感動した人は読んで欲しい。

あらすじは、大学病院から、南の孤島の診療所に赴任したDr.コトー。設備の整っていない診療所で、島民の難病を発見したり難しいオペをしたりと凄腕を発揮。しかし、大学病院を去った事件とは?
まー、TVで見た方はわかると思いますが、1~2巻で初期設定のだいたいのエピソードが出てくる。もう18巻くらい出てるの?けど、2巻までを読んでおけば、後はどこをいつ読んでも同じだ!こち亀のように使えます。古本屋に行って探し物がなかったとき、これを1~2冊続きを買って帰る様にしています。電車旅に持って行ってもグーです。

(★5点満点)お奨め度★★★★

Am2 岳 7~8巻

以前この記事で5巻までご紹介しましたが、 私が山に登るきっかけを作ったマンガです。
とても面白い。山に登る方はもちろん読んで欲しいし、そうじゃなくても読めば面白いっすよ。

あらすじは上のリンクの記事をご覧ください。

で、7と8巻ですが。7巻はちょっとパワーダウンしたなあ。ヒューマン物語というか身近な話題になって、こじんまりした。やはり山のマンガは悲惨な遭難シーンが出てこないと(不謹慎!)。けど、山岳救助ものなんで遭難が出てこないわけにはいかない。8巻は再び悲惨な遭難現場と、三歩のスーパーなレスキューと山岳救助隊員の苦悩が描かれて盛り上がりました。だがまだ物足りないなあ。やっぱし、初期のような、三歩の凄いレスキューシーンが無いとね。

1巻から読んでのお奨め度★★★★★

Am3 僕の小規模な生活 2巻

表紙のマンガにも描いてあるように、作者初めての2巻です。作者の日常生活を描くエッセイマンガ。売れない漫画家生活を描いた1巻はとても面白く、メジャーデビューを果たすまでは応援してしまいます。
詳しいあらすじは以前書いたこの記事をご覧ください。

で、その時私は、あれ?このマンガが続くと、作者の今の生活に内容が追いついてしまうぞ?どうするんだと危惧したとおり、作者も自覚しているように以前のような面白い生活が描かれず、毎日マンガ描いているばかりです。途中休載しながら時間調節しているようですが・・・。
まあ、売れたせいで慢心して落ち込んだり、編集者との駆け引きでまた落ち込んだり。
妻さんは相変わらずもちゃ~としていい味出しています。ほのぼのしてて面白かったです。
この人、そろそろ以前のようなストーリーマンガを描いたほうが良い気もします。「生活」はとても面白かったので続きを書いて欲しい。妻さんと二人で描いて、人間的にもアシスタントを上手く使えそうな感じではないので、これ以上の量は描けないでしょうが。この作品で、もうしばらく続けて生活を安定させて、是非次の作品を期待します。この作者の他の作品も全部読んだので、いつかはご紹介します。

1巻から読んでお奨め度★★★★

Am4 街角花だより

こうの史代さんのほのぼのタッチのマンガ。

この人の作品、代表作はこの記事で書きましたこの作品 かなり泣きました。
しかし、ほのぼの作品物が面白い。
この「さんさん録」とか
どこかで記事に書いた「長い道」というのがよかった。この作者、枠線以外は定規を使わない!とても柔らかいタッチの画なのです。

表題作はデビュー当時に描いた10作と、その後書いた6作に最近書いた1作の連作。その間に読み切りが2作、あと雑誌に書いたイラストも数点載っています。
1995年に描いた時と、2003年に描いた時と、2007年に描いた時の同じシリーズ漫画なのですが、驚きは12年間殆んど絵柄が変わっていない!これは凄い。この人の絵柄は可愛くて好きだから良いんですが。
漫画家さんは売れると画が荒れたりしますし、ベテランさんは最近絵柄を可愛くしたりして今の読者に合わせようと努力したり大変です。この作者はマイペースで良いのです。たまに描く大ゴマがイラストタッチでとても素敵です。当時のボツ原稿と書き直しも載っています。

他の作品とあわせて読んでお奨め度★★★★

Am5 アマレスケンちゃん

これは私の好きなマンガ、デトロイトメタルシティの 作者がそれ以前に書いた作品。
前はどんなの書いていたのか興味があって読んでみました。古本屋で凄く安く売っていたので・・。

まあ、なんか、変。
あらすじは。ロシア人とのハーフ、沼田プチョコフ先生(表紙の人)が高校に赴任してくる。プチョコフはレスリングの五輪選手で、オリンピック決勝で腹痛を起こしお漏らしして銀メダルという経歴の持ち主。高校でレスリング部をつくり、童貞を捨てたい高校生健ちゃんをレスリングをすればモテル、と勧誘するがプチョコフも童貞だった・・。あとはホモネタ、エッチネタ、下品ネタ満載、絵柄の迫力で押し切っています。
DMCが好きな方は是非。他の方はお下品なので・・。
お奨め度★

Am6 アオイホノオ1巻 島本和彦

この作者は「炎の転校生」を読んだことがあるんだけど、日常の些細なことを熱血タッチで描くというジャンルを確立した人。

その作者の自叙伝で、芸術系大学に通い漫画家を目指す頃を描いた作品。

私と世代が近いのか、80年代の大学生活が描かれています。アパートの部屋の玉のれんが泣かせます。
作者は漫画家を目指すのにちっとも漫画を描かない。なのに自分は凄いと思っている。まだ売れていない「あだち充」や「高橋留美子」を俺だけは認めてやろう、と思ったり、彼らが売れたら、やられたーオレがやろうとしていたのにと思ってしまう。「細野不二彦」を読んで、やられた!これは流行る!いや、自分の進むべき方向が見えた、とか絶叫するのだ。
また、キャンパスでエヴァンゲリオンの監督の庵野秀明や、20数年前私の愛読した「ネコじゃないモン!」(初期のヤングジャンプ連載)の作者矢野健太郎に出会ったエピソードが織り込まれる。なんか昔のマンガオタクのキャンパスライフを熱血タッチで見せてくれます。

80年代少年漫画が好きな方にお奨め度★★★

Am7 3月のライオン1~2巻
 羽海野チカ

この作者、女性誌でハチミツとクローバを描いた人。ハチクロは私の住んでいる高崎~安中が2巻で出てきて、それをきっかけに読んで好きでした。学園恋愛コメディーでしたが、登場人物全員が片思いという話し、最後はかなり重くなってしまいましたが傑作です。

その人がいきなり青年誌に書いた。しかも将棋マンガ!ええ?ッて感じでしたが。掲載のヤングアニマルは上の記事のデトロイトメタルシティを連載しているので、これも連載最初から読んでいます。

面白い!昔ジャンプで「ヒカルの碁」っていう囲碁の漫画がありましたが、設定はダブりますがあれと同じように囲碁や将棋を知らなくても楽しめます!

将棋のシーンはちゃんとプロが指導してリアルになっています。プロの将棋コラムも面白いです。
将棋漫画は他誌で「ハチワンダイバー」でしたか、やっていますが、あれはなんかもうバチバチ打ってるだけで将棋をしていない(笑)しかもストーリーもなくなって迫力だけで押し切っている。将棋の面では3月のライオンのほうがはるかにリアル。「ヒカルの碁」も囲碁はどうでもわかんなくなっちゃったし、この漫画はかなり将棋の内容がリアルにちゃんとストーリーに絡んでいます。

主人公の出生と、周りの人物の絡みが面白いし、やっぱり重さ暗さのある心理描写があるのですが、主人公が下町を徘徊するモノローグがいい味出しています。
美人のあかりさんがぽっちゃり系好みで、太目の棋士二海堂君を気に入ったり。画がかわいいのです。織り込まれる小ネタギャクも笑えます。将棋マンガ「月下の棋士」のパロディーも出てきます。
これは、是非とも将棋がわからなくても読んでみてください、お勧めです!

お奨め度★★★★★

ふーまだ半分・・。あー、残りのレビューは個別にまた書きます・・。

では、また。

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2008年12月 3日 (水)

漫画「神の雫」を読んだ。ワインに夢中になりそう~。

前回、ワインについて書きましたが、ワイン好きならば見逃せないのが、このワイン漫画「神の雫」です。夢中になって読んでおります・・。

単なるワインうんちく漫画ではなく、「神の雫」と呼ばれた幻の1本のワインにたどり着くまで、ワインの持つロマンに出会い、謎を解き明かしていく、壮大なストーリー漫画なのです。

08ks1 現在、18巻まで発売されていますが、私が購入したのは11巻まで。続きが読みたい!

「神の雫」1~18巻
講談社モーニングKC
作:亜樹 直  画:オキモト・シュウ

モーニングを立ち読みして知ってはいたのですが、以前は、うーん、なんかワインを飲んで感動する描写が凄過ぎる、やり過ぎじゃないの?と思ってしまった。

ワインを飲むと、花畑やミレーの「晩鐘」やバリ島やら、遊園地、はてまたクィーンのライブ会場までが画面に現れる!ホントこんな風景が脳裏に浮かぶのか?と、あまり入り込めませんでした。
しかし最近、ワインがマイブームになったので購入、一気に読んでいます。

こ、これは面白い!楽しみながらワインの知識も得られるなんて、ワイン好きな方には是非読んでいただきたいのです。巻末のワインコラムもためになる知識がいっぱいですよ。

 

あらすじ。

08ks2 ←主人公はイケメンの太陽ビール営業社員、神咲雫。彼は世界的なワイン評論家、神咲豊多香氏の一人息子だ。だが厳しい父に反発し、ワインを一度も飲んだことが無く、ビール会社に就職した。

接待の席、ソムリエーヌ見習いの紫野原みやびの出した「DRCリシュルーブ」を雫は、父親に仕込まれた神業的なデキャンタージュ(香りの立たないワインを別容器に移し開かせる)で見事な味わいにさせたのだ。その後ワイン事業部へ異動となる。

父親の他界、遺された遺言状には神の雫と書かれていた。豊多香氏が所有した総額20億円のワインコレクションを相続する条件が示される。
それは、豊多香氏が選んだ12本の偉大なるワイン「12使徒」(エヴァンゲリオンかよ)と、その頂点に立つ「神の雫」と呼ばれた幻のワインについて、豊多香氏自身の言葉によって描かれた難解なストーリーが記される。その文章表現の持つ謎を解き明かし、そのワインと年代を1年後までに全て言い当てた者に遺産の全てを譲り渡す、という内容だったのだ。

08ks3 ←その時、もう一人の息子を名乗る人物、若手ワイン評論家・遠峰一青が現れる。父が亡くなる1週間前に養子縁組をしたというのだ。ワインコレクションを狙ってなのか?
一口飲めば、ワインの銘柄やヴィンテージ(ブドウ収穫年)がわかってしまう天才。
ワインを飲むときの口癖は「お・・・、おお・・・、お・・・」です。

この二人がワインを巡る、壮大な謎解きを勝負するのです。

しかしこの遠峰という男、謎が多い。ダブルのスーツを着込んでひとり遊園地の回転木馬に乗ったり、ワインのヒントを得ようと一人でタクラマカン砂漠を彷徨ったり・・。11巻で「第3の使途」を探す過程、遊園地での回想シーンで幼い頃の遠峰と回転木馬に乗っていたのは、あの豊多香氏であった・・。これの意味するものとは?

全くワイン素人の雫は、最初の課題のワインに恐怖し、グラスを落としてしまう。
途方にくれた雫は、
08ks4 ←紫野原みやびの所を訪れる。
ソムリエーヌ見習いのみやびが行きつけのワインバーのマスター藤枝は、もっと気軽にワインを楽しむことを雫に勧める。

初めて飲んだワインで雫は、独創的なテイスティング表現をする。
「君はワインを極めていく運命にある人間なのかもな」
藤枝の言うとおり、その後雫は驚異的なテイスティング能力を発揮し始める!そう、雫は幼い頃から父親により、様々な香りを嗅ぎ分ける嗅覚と、表現能力を身につける英才教育をワインを飲むことなく仕込まれていたのだ!
さあ、ワインの魅力に気がつき能力を発揮し始めた雫は、いよいよ遠峰との第一の使徒を巡る戦いを始める・・・。

というストーリーなんですけど・・。

全ての使徒を当てないとダメなのに、もう既に二人とも使徒を不正解している。いいのか、これで?

韓国ではこの漫画が200万部を越える大ヒット、ワインブームを巻き起こしているそうです。本場フランスでも読まれているらしい。
来月の1月から、日テレで亀梨君の主演でTVドラマ化されます。韓国でもヨンさまが主演でドラマ化の予定だとか。

うーん、この漫画の登場人物に、ここまで旨そうにワインを飲まれたら、この漫画に出てくるワインを飲んでみたいと思うのです!実際、この漫画に掲載されたワインは、すぐに売り切れてしまうそうです。
ホントに、飲めばいろいろな情景が見えるの!?

08ks7 これはワインを飲んで試してみなければ・・。ドラマ化すればまた売切れてしまう!早く飲むんだ!ということで、ネット通販で取り寄せたのがこのワイン(笑)。

まずはフランスワインを。

いや~、ネット通販では、もう神の雫コーナーが出来ていて簡単に探せます。
商売は繋がっているなあ・・。




この漫画に取り上げられればたちまち価格は高騰、売り切れ。
大手メーカーの営業は、作者と編集部のところに行っているかもなあ?
ストーリーの殆んどは、ボルドー五大シャトーだのすごいヴィンテージワインばかりで買えませんが、たまにワインは値段じゃないだろう?と私にも買えそうな安いワインも掲載されるので、その辺りを購入。またレポートします。

08ks6 18巻までいっても、第五使徒を探しているとは。話が壮大すぎていつまで続くのやら。最近では使途を求める旅が過酷になり過ぎ、苦行のレベルに。山岳漫画になっているもの・・。しばらくは読んでみます。

仕事帰りにスーパーでこんなものを購入。

ジャーン、ワイングラス。
やっぱコップじゃまずいだろうって・・。
テイスティングの為には、この形状も意味があるらしい。
割れ難いタイプを買ってみました。

さあ、今夜はどれを飲むかな?

では、また。



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2008年10月 1日 (水)

漫画「聖☆おにいさん」

先日映画を見に行った際に立ち寄った本屋「ヴィレッジヴァンガード」で、プッシュしていた漫画。
気になったので購入。コレが面白かった。っていうかとんでもなかった!
宗教ギャグ漫画・・。そんなジャンルあったか?

登場人物はブッダとイエス。
釈迦(ゴーダマシダッダ)とイエス・キリストが、何故か立川のアパートでルームシェアして暮らしているという物語。
普通に暮らしていながらも微妙な奇跡を起こしたり、宗教っぽい事になってしまうという。偉大な聖人をこんなにいじって大丈夫なのか?

So 聖☆おにいさん(セイントおにいさん)1巻・2巻
中村光 モーニングKC

もう日本の暮らしに溶け込んでいる二人。
大学生みたいな服装だもの。








世紀末の大仕事を無事に終えたブッダとイエスは、下界でバカンスを楽しむため、東京は立川のアパート(風呂なし)で二人暮らしをする。ジョニー・デップ似を自認し、無駄遣いをするブロガーのイエス。細かいお金を気にする真面目、二人で着るTシャツを日本語でプリントするブッダ。

宗教に興味がない私でも、なんとなく知っているエピソードで笑えます。いや、笑っていいのか?
冒頭、ブッダがアパートの部屋であの涅槃像のポーズで横向きになって寝ていたら、窓から鳥たちが大量に入ってきて体の上にとまられて「違う、大丈夫!今日はコレ 涅槃とかじゃないから!  ほっとけ!」と叫んだところにイエスが帰って来て
「仏なだけに?」
というゆる~い宗教ギャグから始まります。
そのあと缶ビールぐー、とか飲んでるし・・。

商店街の福引でブッダが二等を当てたら商品が大きな仏像で・・・、「偶像崇拝禁止しとけばよかったな」と呟く。等身大の自分フィギュアだって。この仏像は部屋でカバン掛けになっています。

六甲の水をぶどう酒に変えるとか微妙に小さな奇跡を起こし、七面鳥が食べたいとクリスマスに願うと、七面鳥がマッチを咥えて身を捧げに来たり。だいいちイエスはクリスマスが何のイベントか知らないし、街に出れば「アナタハー神ヲ信ジマスカ?」と布教されるし・・。
ブッダも小学生に「奈良の大仏にそっくり」って言われるし。

我が家は無宗教ですが、うちの妻が宗教史を趣味で学んでいるようなのでウケるとおもって買った漫画だけど、私もウケてしまった。
宗教に詳しい方、信者の方はもっと理解できて笑えるかも。いや笑ってくれないかも・・。

大丈夫なのかなー・・。宗教団体からクレーム来ないかなあと心配してしまいます。
日本て、ほんとに表現の自由は世界一だと思いますよ。こんなの海外でやったら大変なことに・・。今の日本は世界一自由だ。
日本は宗教に対しての感覚も緩いですね。
信仰心が曖昧というか、熱心な方もいらっしゃいますが、暦や宗教イベントとして形としては暮らしの中に存在しながらも、生活のなかでは意識していない気がします。
もともと何にでも神様がいて、おトイレにも神様がいるという、日本は神のインフレ状態な伝統があるので、崇めるというよりかは身近な存在なのかもしれません。普段は拝まないけど、ピンチになると「神様お願い!」て願うし。皆心の中に神様がいるのかもしれませんね。

だから、教会にもお寺にも神社にも行けるのかなあ。けど、昔クリスチャンの彼女と付き合っていた時、一緒に初詣で神社にお参りをしても拝まなかったのを見て感心したことがあります。熱心な人はちゃんとしています。

外国の人って熱心に信仰しているんでしょう。日本はコレだけ冠婚葬祭以外で無宗教な人が多いのに社会が成り立っているから、立派というか、何を心のよりどころにして生きているのか不思議に感じます。私は、妄想が心のよりどころかなあ・・。

世界3大宗教のうちの二つが出てきますが、もう一つは扱わなくて良かった。コレが出ちゃうともうシャレでは済まなくなりますからね。デンマークでも酷いことになったし。

こんな漫画、日本だから許されるのでしょうねえ。今の日本は何でもアリです。
だから読んで楽しんでください~。
今後どうなるのかなあ、この漫画・・。

では、また。

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2008年3月16日 (日)

漫画・孤独のグルメ&高崎の焼きまんじゅう

大人のグルメ漫画です。

前回掲載した金魚屋古書店 はたくさんのマンガ本を紹介してくれましたが、その中で一番読みたくなったのがコレ。

Ko1 孤独のグルメ
原作:久住昌之
作画:谷口ジロー
扶桑社文庫 600円

作画の谷口ジロー氏は、以前「神々の山嶺」というエベレスト登山の漫画を読んで以来(この漫画のレビューが未だに書けない・・・。)、私はファンです。とても画力のある作家で、スッキリした線で精緻な描写をします。

「孤独のグルメ」は、主人公の個人貿易商を営む井之頭五郎が、商談先の見知らぬ町で偶然見つけた店に一人で入って、ややB級というか大衆的なメニューを食べ尽くす話がメインです。

私は知らない町で、地元の店に入るのって苦手です。まず出来ない。無難なチェーン店に入ってしまう。井之頭五郎は「ん?」と感じた店に何気に入ります。グルメ漫画にありがちな勝負も無く、派手な料理でもなく、ただ、普通っぽい料理をむしゃむしゃともくもくと食べる静かなグルメです。しかも、うめーえええっ!とか言わない。うん、うまい、くらい。うまくなさそうな時もある(笑)。うまいと、はふはふ、おかわり、むぐむぐ、ふー、となるのです。それが食う食う。大食いだ。時としてびっくりするくらい沢山食べて、ふーう腹が苦しい、とか言うのです。

さらに、入店前に五郎は脳内でメニューの組み立てをするのですが、いざ注文すると品切れだったりで自分の思い通りにいかなかったり、未知なメニュー、店の雰囲気や周りの客に困惑したりするのですが、食べてみると、うん、うまい、って感じになるのです。全く酒が飲めないのに飲み屋に入ったりするのだから。

全部で18話あり、読みごたえあります。赤羽の朝からやっている飲み屋は噂には聞いていましたがこんな良い店とは、是非行ってみたい。コンビニで惣菜を買いすぎてしまうのは私もよくやるし、魚肉ソーセージも買うなあ、とか共感。

殆んど都内の店ですが、第5話に、私の地元の高崎の焼きまんじゅうがあるのです!
冒頭、パリで女優と交際していた話からはじまり、パリと高崎じゃあエライ違いだ、とか言う失礼な展開(笑)。そこで五郎は「俺にお似合いなのはこういうもんですよ」と言って焼きまんじゅう屋に入るのです。

焼きまんじゅうって知ってます?群馬以外では見たことが無いので、食べたことのない方が多いと思います。

本日、そのモデルとなったと思われる高崎の焼きまんじゅう屋さんに行って来ました!久しぶりの取材(笑)。

Ko2 コレがその店。中央銀座の側の焼きまんじゅう屋を調べたらここです。本の50ページに出てきますが、看板とかちょっと感じは違いますね。漫画から10年以上時がたっていますから。
暖簾のデザインとひさしのぴらぴらが同じか。店名は漫画ではクリタですが、こちらはオリタ。

店の詳細と地図はこちら。

高崎駅西口から真っ直ぐ行ってガストの十字路角を右折、ずーと行って田町北の信号を右折です。

店内の配置は逆で、入り口の左側に焼く場所があります。テーブルは座れるのは1台だけで椅子も2席のみ。飲み物メニューはアイスコーヒーがあるようですが、狭いので漫画のように店内で食べるのはちょっと辛いか。迷わず持ち帰りにします。

Ko3 かなり流行っていて、このように2~3人の行列、というか、オーダーを受けてから焼き始めるので、焼き上がりを待つ人がいます。何故か若い女性ばかり・・・。

漫画のおじいさんはいなくて、おばちゃまが焼いています。
1本1本丁寧に焼き上げています。
焼きまんじゅうは焼きたてがうまいのですよ!
私は、焼きまんじゅうの普通の(150円)を3本とアン入り(160円)を2本注文。
漫画のように、焼きそばはやっていないようです。

Ko4 車ですか?と聞かれて、はい、と答えるとこのようになって渡されました。徒歩だと違うパッケージなのかなあ?







Ko5 これが焼きまんじゅうだあ!

どうなっているかと言うと・・。下の4個並んでいるのがアンなしで、4個で串にさして焼く。縁日の屋台とか店によっては串に刺したままの巨大な団子みたいな格好で売っていまして、手に持って横から齧れるのですが、この店は串を抜いてパック積めするので、箸で食べるわけです。

上側のさらに大きいのがアン入り。二つで一串。普通焼きまんじゅうはあんこは入っていませんので、アン入りは地元でも珍しい。私も数回しか食べたことがありません。

Ko6 濃厚な甘ミソダレがかかっています。焼きながら刷毛で塗るのですが、さらにスプーンでドロッとしたタレをたっぷり載せてくれました。溜まっています。これを焼きまんじゅうにたっぷりつけて食べるとうまい。

濃厚ですが甘過ぎない。ミソの香りが素朴でよいのです。漫画では焼き鳥みたいでしょ、と店の親父がいいますが、そこまでは香ばしくない。店によってはパサパサ感がありますが、この店のはしっとりとしてうまいですよ。

はじめて見る人は、4個一串の大きさにびっくりしますが、実はとても軽い食感です。軽めのパンのようです。一串はあっという間に食べられますから。
アンコ入りは流石に重い。大きいし。漫画では「これは思ったとおり、複雑な甘さだ」と五郎は言いますが、普通に甘いです。

「孤独のグルメ」はイタリアでも出版され、原作者は自身のHPでベニスやフィレンツェのイタリア人に焼きまんじゅうがわかるのだろうか?と語っていましたが。
群馬以外で見ないですね。私も生粋の群馬県民ではないので、それ程食べないのですが。うめええ!という感じでもなく、漫画どおり素朴な味ってところです。たまに食べるとうまいです。

で、この漫画がかなり気に入ってしまったので、このコンビが描く最新作を購入。

Ko7 「散歩もの」
原作:久住昌之
作画:谷口ジロー
発行:フリースタイル 1100円

主人公の感じが孤独のグルメに似ている。
知らない街を偶然に任せて散歩する。見かけたものを買ったり、うまいものを食べたり。
これも大人向きの落ち着いた漫画です。

全8話で薄いのにちょっと値段が高いのは、ハードカバー。表紙が硬い本って私苦手。普通の装丁にして少し安くして欲しかった。

前にもまして緻密な書き込みになっているのですが、トーンを多用しているせいか、印刷が薄い。線が細すぎるのか、ほんとベタが殆んど無くて、薄墨みたいな描写です。もっとハイコントラストなほうが読みやすいのですが、わざと狙ったのかな?原作者は実際に散歩して取材しているようです。

主人公はずっと独り言を言う羽目になりますが、こういう散歩は良いですね。ただこのように濃厚な見所のある街に住んでいるから出来るのでしょうね。

Ko9 今日行った焼きまんじゅうやの側にあったこんな店。ミックスドリンクって何?おそらくカクテルのことかな?一度行ってみたかったのですが、もうやってなさそうです。

こういう出会いがあるのが、散歩なのかなあ?






原作者の久住昌之氏は、作画の泉晴紀氏と組んで泉昌之というユニットで漫画を出していますね。
Ko8 もう古典ですが、「かっこいいスキヤキ」です。
日常的なことをダンドリして図式で解説すると言う漫画のパイオニアです。駅弁の食べ方を詳細に解説する「夜行」、すき焼きの食べ方を解説する「最後の晩餐」など、名作です。久しぶりに読みましたが、いいね。

今日の散歩、花粉症は悪化しました。
では、また。

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2008年3月15日 (土)

漫画・金魚屋古書店

漫画好きのための漫画です。

Kin1_2 過去の漫画の名作を題材に、「まんがばか」のキャラクターが漫画を巡る1話読みきりのストーリー。

私のお邪魔するブログ、たれぞ~さんのすずめの休憩室 で以前ご紹介されまして、漫画好きな私はこれは読むしかない、と全巻を読みました。

私の読んだことのある漫画や、読んだことの無い漫画を巡ってドラマが展開、かなり面白かったのです。

あらすじは、川沿いの古びた建物の「金魚屋古書店」。ここには膨大なマンガ本があります。店番をするのは、この漫画を集めた祖父が旅に出た後、店を預かった孫娘の鏑木菜月さん。地下にあるどこまで続いてるかも不明な巨大書庫ダンジョンに居候する無駄にイケメンな漫画マニアの斯波さん。
様々な人が、日常生活のなかで疲れたり傷ついたりした時、以前読んだ漫画を思い出し金魚屋で再び出会い、その漫画の持つ意味に力づけられたり癒されたり、金魚屋に集う無駄にイケメンや美女の漫画マニア達の漫画に対する熱い思いが描かれます。人間ドラマあり、恋愛物語ありで、女性誌タッチの爽やかな絵柄で、ストーリーと漫画うんちくも楽しめます。

シリーズが2つあり、まずは、

Kin2_2 この金魚屋古書店出納帳からお読みになると、ストーリーの流れがわかりやすいと思います。

「金魚屋古書店出納帳・上・下巻」
芳崎せいむ著
小学館・IKKIコミックス
各562円

後のシリーズで物語の中心となる漫画好きな各キャラクターの登場ストーリーや、なかなか深い人間ドラマの数々。金魚屋はアクセントとして出て来る感じで、ドラマの深みは後のシリーズよりこちらがより感じてしまいました。特に上巻2話はとてもいい話で、文学的な匂いを感じてしまった。まずはこの2冊お薦めです。絵柄もこっちのほうが好きだなあ。キンコちゃんも違うキャラになっています。ここで、メインに扱われた私の知っている漫画、興味を持った漫画は「サイボーグ009」「カッパの三平」「ゴルゴ13」「タッチ」「フランス窓便り」など。

続いて現在も連載中のシリーズ。

Kin3 金魚屋古書店・1~6巻
芳崎せいむ著
小学館・IKKIコミックス
各562円

こちらのほうが金魚屋がメインで出てきます。後に全く金魚屋が出てこない話もありますが。

弓道の成績が上がらずもっと頑張らなくちゃと悩む高校生が、金魚屋の地下で出会ったのが吉田戦車の「伝染るんです」。これは私も大笑いして好きでしたが、それを読んだ高校生が泣き出し、「この漫画を読んでたら、なんでもアリなんだなあと思って」(笑)、これはわかるなあ・・。

貸し本屋が返却されない本を探して海外まで行き、めぐり巡って手にした「孤独のグルメ」の話はよかった。

このシリーズで紹介された主な私の読んだ本と興味本は、「Dr.スランプ」「もーれつア太郎」「千津美と藤臣君シリーズ」「アドルフに告ぐ」「ワイルド7」「じゃりン子チエ」「小さな恋の物語」「銀河鉄道999」「梅図かずおシリーズ」「美少女戦士セ-ラームーン」「クッキングパパ」「「孤独のグルメ」「デビルマン」「気分はもう戦争」「らんま1/2」「とってもしあわせモトちゃん」「絶対安全剃刀」「あしたのジョー」「クライングフリーマン」「「あどりぶシネ倶楽部」「「魁!!男塾」などなど。

私も、中学生くらいの頃、永井豪の本家「デビルマン」(アニメのデビルマンと全く違う話)を読んでやはりトラウマになっています。ストーリーの意味は当時はわからなかったけど、アニメの後で読むと衝撃的な漫画でした。あのアニメの愛らしいキャラがみんなあんなことに・・・。永井豪のデビルマン、凄い漫画ですよ。

金魚屋古書店、巻末には描くマンガを解説するお役立ちコラムも付いていて、漫画好きならばたまらなくなる作品です。

うーん、漫画って、ホントにいいですね。

では、また。

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2008年3月 5日 (水)

漫画「僕の小規模な生活」

メジャーな漫画雑誌モーニングで連載され、とても地味な作品だったのですが、いつの間にか私は、他の人気漫画よりも先にこの漫画が読みたくなっていました。

Fu1 「僕の小規模な生活」1巻
福満しげゆき著
講談社・モーニングKCDX 743円

この目の下にクマを作った、なんとも情けない表情の人物が主人公の作者、結婚当時25歳。横のずんぐりした可愛い女性が作者の妻当時20歳。

売れない漫画家の作者が、妻に家計を支えてもらいながら、社会の荒波にもまれつつマンガを描き続け、モーニングでメジャー誌デビューを果たす過程を描いた、「小規模」な自伝的実話漫画です。

この妻との家庭内の生活ぶりがなかなか楽しく、つい引き込まれてしまったのです。

作者のこの情けない表情、ナイーブでネガティブな思考、バイト仕事をこなせない社会への不適格さ、妻からの激しい非難、など、多くの読者がこの作者の情けなさに興味を持ったのではないでしょうか?自分並、いや自分よりも情けない人がいた、こんな生き方でも大丈夫なんだ、と共感し自分の姿に重ねた読者を獲得し、徐々に人気を得たのではないでしょうか?私も妻からの暴言暴力に耐える作者の姿には、おおいに共感しました。

が、確かに作者の日常の生活の中での情けなさには自分に似た部分は見出せますが、実際のこの作者の生き方は、大変ポジティブです。前編作品の「僕の小規模な失敗」をあわせて読んだ感想ですが、作者は積極的に思考し行動し、常に問題意識を持ち新しい生き方を模索し、チャンスをモノにした結果、メジャー誌連載漫画作家という夢を実現、可愛い妻との生活を得たのです。目の下のクマに騙されてはいけない・・・。こんな前向きな人物、人生はなかなか無い。

Fu2 結局、私は福満ワールドに引き込まれ、作者の全単行本を購入してしまいました。

なぜかというと、この「~小規模な生活」とその前編の「~小規模な失敗」を読むと、作者が漫画の中で実際に漫画を描いているシーンがあります。

「比較的速く結果を出せそうなジャンルはやはりエロ漫画だと思うんだよ」と生活のために無理に描いたエロマンガ。「地味すぎてまるで面白くない。こんな漫画でページを沢山もらえるわけないからもっと細かく描こう」と描いた自伝マンガ。芸術志向な漫画を本当は描きたいが、需要が無いのではと悩み、妻に「それお金もらえないでしょ?」と言われた漫画などが、一体どんな作品なのかとても興味を持ってしまったのです。

結果読んでみたところ、面白い・・。独自な世界があって、シュールな内容、個性的なキャラ、結婚する以前の妻がモデルとなったであろう作品など、とても面白く読めました。ただ、悩み苦しむ姿と生き方を模索する重いテーマが多く、一般受けして、誰もが楽しめるかと言うとハテナがつくような、売れるような漫画でもなかった(笑)。エロ漫画も初期の作品は実用的ではなかったし。実験的でつき抜けた作品もあり、全体に私はとても好きですが。

まずは、この「僕の小規模な生活」をお薦めします。
漫画家志望の方は是非読んで欲しいし、漫画がどう作られていくのか?という部分も詳しく解説されています。そして、妻との微笑ましいエピソードが面白い。

あらすじ。
狭いワンルームアパートで結婚生活を始めた作者。しかし、仕事をしても長続きせず、妻が働いて生活を維持する日々。主夫をしながらマンガを描くがなかなか売れない。都営住宅に当選し引っ越すものの生活は苦しく、頑張ってエロ漫画を描くが人気を得られず打ち切り。妻に「そろそろバイトを探しておいで」と言われ悩む。情緒不安定な妻に「私にばかり働かせておいて!クソブタ!」となじられながら必死に耐える。やっと見つけたバイト先で人間関係に悩みながらも何とか続け、漫画もとうとう単行本が出ることに・・。しかし生活は変わらず。が、モーニング編集部から電話が来た・・。

結構すっきりとした絵柄で読み易いです。作中にあるようにモーニングの編集部員に散々手直しさせられた効果ははっきりと出ています!過去の作品と比べると良くわかりました。前作なんかは1ページに20コマ以上あるし・・。

作者は悩んでばかりなのです。団地の隣の部屋が臭くて、隣の住民は死んでいると思い警察を呼ぶが大騒ぎになり、頼む死んでいてくれ!と不謹慎ながら願う姿が象徴的です。この回は、こんな事件に遭遇するなんて、やはり只者ではない作者の人生だと思ってしまう。

折角モーニングに掲載されても、調子に乗って他誌で似たような漫画の連載を始めてトラブルになってしまうなど、エピソード満載。内部事情をここまで正直に描いて良いのか?と心配してしまいます。また、自分のその時々の心情をここまではっきりと描けるとは、感心してしまいます。

やはり一番面白いのは、妻、ですね。ぽっちゃりと可愛く描かれた妻は、生活を支えている時は高飛車なキャラで、作者に馬乗りになって殴りかかったり。いつも菓子パンを食べていて、もっもっもっもっ、と食べている姿が大変可愛いのです。仕事をやめてからは温厚になって、力強く夫を支える素敵な妻になっています。いつも両手を挙げて寝ている妻に、作者は指で腕の長さを測り「妻・・・、頭の大きさに対して手が短すぎないか?」

そして最後のひとコマが、実に小規模なオチになっていて、なんか、良いのです。

モーニングでの連載は一時終りましたがまた再開し、内容はアクションで連載の4コマ「私の妻ってどうでしょう?」とかぶっているようですが・・。
そろそろ作品の内容が現実の生活に時間的に追いついてしまうのではないのか?という不安があります。この再開よりも、連載が中断されている「生活」というストーリー漫画が面白かったので、再開はそちらのほうが良かったのでは?今後に期待しています。

Fu3 これ以前の作者の人生を描いた「僕の小規模な失敗」はさらに濃厚で面白かった。「僕の小規模な生活」を読んで作者のそれ以前の出来事に興味を持った方は是非読んでみてください。高校時代の漫画を描き始めるところから、自信を失った作者が、何故こんな可愛い妻をゲットできたのか?という謎が解決されます。

また後日、この作品を含めて他の福満しげゆき氏の作品はまとめてご紹介します。

この人の描く世界は、私はかなり好きです。

では、また。

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2008年2月17日 (日)

漫画・さんさん録

最近、漫画に安らぎを求めています・・。
ぼーっと老後を考える今日この頃、こんなほのぼのな漫画はいかがでしょう?

San 「さんさん録」1~2巻、双葉社
こうの史代 著

定年後、妻を亡くした初老の男が、息子夫婦と同居をはじめる。妻の残した「生活ノート」を元に、主夫として家事をこなす「家庭の豆知識」が掲載され、後半は若い女性との切ない恋愛感情が綴られます。こんな老人になりたい!と思わせた漫画です・・。
装丁も渋い紙質で素敵です。

こうの史代さんは私の好きな漫画家です。ほのぼのとした可愛い絵柄と、枠線以外は定規を使わない景色も暖かみがあります。
以前読んだ長い道 で好きになって、有名になったヒット作夕凪の街 桜の国 では、ヒロシマというテーマを可愛い画で伝えてくれました。

この作品は作者初めての隔週連載漫画。描き始めた当時、まだ売れてなかった作者が失意の中、苦手な「じじい」を書いて面倒くさい豆知識漫画にして、それで漫画を嫌いになれば諦めがつく、と思っていたそうです。ほのぼのと進む話の中、実用的な家事の知識があって楽しく読めました。

[あらすじ]  定年退職後、突然交通事故で妻を亡くした奥田参平。息子夫婦、孫娘と団地で同居を始めます。慣れない生活に戸惑いながら、引越し荷物から見つけた妻が長年書き続けていた生活ノート「奥田家の記録」を読み、家事を始めることに。その生活ノートには、妻が自分が先に逝った時、参平が困らないように「生活録」「炊事録」「洗濯録」等の家事の方法が手書きされ、「さんさん録」のページには妻から「参さん」へのメッセージが記されていました。

ノートを読みながらやった事も無かった家事をこなし、主夫として参平は同居家族と馴染んでいきます。
記載された「家庭の豆知識」は多数。肉じゃがの作り方、服のしわの伸ばし方、掃除の仕方、ボタンのつけ方(2つ穴、4つ穴)、お粥の作り方、洗濯物の干し方、煎茶、番茶の淹れ方、きゅうりなますの作り方(何故かサバの味噌煮ができる(笑))、アイロンのかけ方、電話のかけ方、などなど詳しい解説から、漫画だけで表現されたりと、なかなか実用的です。
私も主夫宣言しているので、他人事とは思えず、参考にしています・・。

この作者、セリフが無いこまを続けて、画だけでストーリーが展開できるので、可愛らしい絵柄でも画力のある方だと思います。くすっと笑えるギャグも多数あり、家庭内のちょっとしたエピソードに心和みます。

後半、息子に想いを寄せる仙川さんという色気のある若い女性に誘惑され、徐々に気持ちが通じ合っていくほのかな恋心・・。参平は素敵な「じじい」に描かれます。あー、こんな「じじい」に私もなりたい!あー、こんな素敵で平和でときめく老後の暮らしが出来たらいいなあ・・・。

切実にそう思った作品でした。

では、また。

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