フォルクスワーゲン・ポロ(丸目9N)を車検に出し、代車としてやってきた真っ赤なVWゴルフⅣ。
ハッチバック車の世界標準とも言われたこの車に2日間乗ってみましたので、インプレします。
グレードは良くわかりませんが、2リッターエンジンを搭載し、立派なアルミを履いている。おそらくGLiでは。
このヘッドライトも従来のゴルフに比べると派手ですね。それまでは質実剛健が売りの車でしたから、Ⅳではいろいろごちゃごちゃして、こういう部分もまずは批判されてしまったのでは?
モデルチェンジ間際の最後期モデル。
走行距離は、66800キロで、内装はかなりくたびれ、ハンドリングも緩めな感じがしました。これと愛車のポロを比較しつつ、今時になって過去のゴルフⅣの乗り味をレポートしてみましょう。
外観は、従来のゴルフのイメージを残しつつ、サイズアップ。全長4155、全幅1735、全高1455ミリ。
この全幅の3ナンバーサイズが当初非難されましたか、ゴルフにしちゃあ大きすぎると。コンパクトなハッチバックから、あまりにも立派になってしまったサイズ。衝突安全基準が高くなった為とのこと。
ちなみにポロは、全長3890、全幅1665、全高1480ミリです。ゴルフⅡより全長がやや小さく全幅が全く同じなポロが従来のゴルフのポジションにあるので、ゴルフはますます大きく育つ。
ドアなどパネルの隙間も小さく、塗装も厚そう。VW車は塗装が宜しいと思います。ポロも同クラスの国産車を越える塗装の良さ。こういう濃厚な色だと、もうこってりしてます。艶も褪せません。時間が経っても新車の輝き。磨いて楽しいVW(笑)。
分厚く重いドア。閉まる音も高級車並みに重厚でボムッと。ポロもドア閉め音はドフッと重厚で、先日知人の某フィットに乗ったらバン、と鉄板っぽい軽さでした。重厚だと意味があるものでもないけど、プレミアム感の演出にこういう部分は意識してやってるのかも。ただゴルフのドアはクラスを超えて重いよ・・。
このドアの厚さによって、全幅が広くなっても室内幅はそんなに広くは感じませんでした。
運転すると左のガードレールが近く感じましたけどね・・。
シートの出来の良さは秀逸。これはVW車の誇ってよい部分。
しかもこれはスポーツタイプで、ホールド感が実に良い。コーナーでも体が安定します。長距離を乗っても疲れないといわれるVWのシート。固めですが部分部分の硬さを変えて実に座り心地が良い。
ポロも似た硬さですが、ゴルフのほうが硬い。
共通はシートバックを立たせて姿勢良く座らせるシート。何故か背筋が伸びます。VW車のシートは寝そべってふんぞり返って運転する人には全く向かない。
ポロと違う点は、シートが大きく包まれ感がある。ポロは小振りでホールド感が弱い。ゴルフは腰が安定する。腰がシートに吸い込まれるような感覚がある。これはゴルフⅤでも感じます。これが疲れない秘訣かな?ポロは腰が出っ張る様に安定させる。こちらも疲れないですけど。シート勝負はゴルフⅣの勝ち。
リアシートもスポーツっぽい。
足元のスペースは結構広いです。つま先が入り難いけど。高めで姿勢良く座らせるリアシート。
ポロはつま先が入るけど、こんなに足元が広くない、というか狭い。
リアシートはゴルフの圧勝。
後姿はポロと良く似ています。というかポロがこのイメージを真似たのでしょう。
バンパーの洒落たラインはこの後流行りましたね。
バックドアを開けると。トランクスペースは結構大きいですね。
深さはポロと同じくらいですが、奥行きが広い。これぞ4人乗って4人分の荷物が積めるスペースです。シートを倒せばワゴンのよう。
トランクはゴルフの圧勝。
このゴルフⅣは最後ゴルフワゴンのほうが人気があったみたいですね。より荷物が積みたい方は、ワゴンをどうぞということでしょう。ゴルフワゴンはいまだに良いと思う、ゴルフバリアントの形が好きじゃないから。
メーター。このブルーの照明はVW車の共通イメージになって来ましたが、この車あたりから?
スピードメータースケールは260キロまで刻まれる。お前はスーパーカーか?(笑)
メーターの配置はポロと全く同じで違和感なし。こういう共通性は立派。
真ん中のインフォメーションに燃費計と外気温が表示。燃費がリッター6・9キロって?メーターはカッコよさでゴルフの勝ち。
センターコンソール。パーツの配置もポロとほぼ同じで違和感がない。代車を受け取ったのは夜でしたが、全く迷わずライトを点灯させ、発進できました。スイッチ操作の統一感も見事。
ややセンターコンソールがドライバー側に傾いています。手は届きやすい。カーナビをつけるとやや低い位置なのは時代の古さ。
このシフトレバー下のメッキプレートが非難を浴びていたなあ・・。合理性を重んじたゴルフが内装にメッキパネルなど飾りをつけるとは何事じゃあ!くらいの言われようだった記憶があります。ゴルフがそれまで理詰めでパッケージングを突き詰めてきたのに、飾りをつけるとは、とファンは嘆いたのです。ドリンクフォルダーもね・・。日本車の激しい追従に、負けている装備に対抗したのですが。もう今じゃあ違和感無いですけどね。メッキプレートはポロも同じようなのが付いています。
内装のシボの高級感やコンパクトなスイッチの近さとタッチ、小物入れの多さで内装はポロの勝ち。
カーオーディオは、スピーカーの配置はポロと同じなのですが、音の良さはゴルフの勝ち。なぜかなあ?スピーカーが良いのか、アンプが良いのか高級感のある音。ポロはちょっとチープです。
ゴルフといえばこのCピラーの太さが特徴。
ポロはこの位置に窓を増設してピラーが細くなってしまった。
しかし以前から、これだけ太いと斜め後方の視界が悪いんじゃないのかなあ?と思っていましたが・・。
後方視界はこんな感じ。
う~ん、やっぱり死角が大きいですね。
ちょっとバックに気を使います。
後方視界はポロがやや勝ち。
エンジンは2リッター。当時このサイズにはやや大きめ。ハッチバック車に大排気量と言う流れもゴルフは作ったかも。今じゃ3・2リッターエンジンまで載っている(笑)。
ゴルフⅣには当初1・8リッターのアウディーと共通の最新型5バルブDOHCエンジンが載っていたはず。それなのに、日本市場では受け入れられず(先代が2リッターだったのに排気量が小さくなるのがマイナスだったから?)、1年くらい経ったらゴルフⅢの2リッターSOHCエンジンを改良したものに変更になりました。前時代のエンジンに載せ直すという不可解さ。こんなカバーを付けてみても時代遅れのエンジン・・。
しかし、VWのSOHCエンジンは定評があります。まったく回りたがりませんが、低速トルクがたっぷりしていて走りやすいのです。VW車は実用域での使いやすさを優先、これはポロも同じ。116PS・17・3kgmのパワーは1260キロと今では軽めの車重には十分、むしろ速いです。2000回転まではすっと発進するし、踏めば「んもー」と唸りながら2500~3000回転あたりのぶっといトルクがモリモリ出てきて速い!5000回転まで「んがー」と唸りながらパワー感は十分。その上は唸るばかりで回しても意味なし・・。
踏めばスいっと加速するあたりは流石に2リッター。ポロより2枚も上手。
ポロのDOHCは吹き上がり感はあるもののトルクが薄くて遅い。エンジンはゴルフの圧勝ってそりゃそうだ。
しかし、音と振動はやや大きめ。アイドリングからややうるさいし、加速中は結構唸る。ハンドルに伝わる振動もかなり大きい。この辺は、ポロのほうがエンジン音は静か、振動も少なく、ロードノイズは互角ながら、後発の強みで静粛性は圧倒的にポロの勝ち。というかポロはこのクラスでもかなり静かな車です、車内は。
ハンドリングは、やっぱりゴルフは凄いなあと感じる部分。切ればすっとノーズが入って曲がる。ロールがあまり無い。追舵すれば簡単に思ったラインになる。ポロは初期にぐらっとロールしてその後は安定ですがややロール感が大きい。ゴルフⅣは初期にロールせず自然にロールが深まり、とても安定しています。両車とも見事なのは狙ったラインにぴたりとはまる。ハンドルとタイヤの直結感。当たり前と思われるでしょうが、以前私が乗っていたワゴンは狙ったラインよりタイヤ1本外にずれる(笑)。なのでその分深く切り足していました。よくS字カーブで真っ直ぐ走りぬける車、ドライバーの性格もあるでしょうが、ハンドリングのライントレース性が悪くて諦めてああなっちゃうのでは?
ハンドリングはどちらもシャープではありませんが、どっしりと安定。ハンドルは重いですね。中立付近はゴルフはややへたれたか、ポロのほうがしっかりしています。両者ともハンドルが重い。これで直進安定感を演出しているんじゃないかと疑いたくなる。良く直進性がよいとVW車は言われますが、ポロは車格にしては凄いけどそんなには凄くないし。ゴルフは高速は走らなかったのでわかりませんが、こちらのほうが高速になるとスピード感が薄れる感じがあり、高速性能はかなり良さそうでした。やっぱりホイールベースと幅が広いのは良い。ポロは路面が荒れると縦横にゆすられる感じがありますがゴルフは終始安定しています。
ハンドリング、乗り心地はゴルフの勝ち。
ブレーキはどちらも良く効きます。ゴルフのほうが踏力は軽い。じわっと効いて奥でぐっと効く。ポロはやや重い踏力で最初からガツンと効く感じです。ゴルフの経年変化もあるのでしょう。ブレーキは引き分け。
ミッションはどちらも四速AT.制御がとてもよく似ています。普通に使えます。日本車と違和感無いです。変速ショックは現在の水準より下です。特にシフトダウンのショックがいただけませんね。
今回ゴルフⅣに乗ってみて、全体の雰囲気がポロと似ていること。やはり兄弟車。方向性が同じなのでしょうね。
ゴルフⅣは走る、曲がる、止まる、という車の基本部分が高いレベルでバランスしています。ゴルフⅡもこんな感じなら、当時は驚きだったでしょう。今では高級車ならば皆こうなのでしょうから。流石はミディアムクラス、ポロより優れています。コンパクトクラスならポロも優秀ですが、走りと曲が負けた。ゴルフがコンパクトハッチとして進化すればポロになったんだろうな。ゴルフは今ではミニバンも意識しなくちゃならない。モデル末期のゴルフⅤも相当凄いところまで来ていますし。
当時280万円もしたこのゴルフⅣ.レガシイのターボが買えちゃうその値段の車。車に何を求めるかで価値が分かれるのでしょう。ゴルフⅣ以降はゴルフという伝説、スタイルにお金を出している気がしてなりません。もし今、このGLiのようなグレードが存在したらかなり中途半端な車でしょう。
そんなのVWも承知で、ハッチバックはベーシックなモデルが一番、という伝説に答えるように、最近出たゴルフⅤTSIトレンドラインは1・4リッターターボで7速セミオートマだもの。それで248万円。踏まなきゃ1・4リットルの燃費、踏めば1・8リットルの性能。付加価値をつけないともう勝負にならないということでしょう。モデル末期のゴルフⅤはかなり面白いです。
このゴルフⅣも、中古車としてゴルフのテイストを気軽に味わえるので良いかも。4万キロ走行で50万円くらいなら。修理費もたっぷりと用意すれば楽しめると思います。
ちなみに燃費はリッター8キロくらいでしたよ・・。同じコースでポロはリッター12キロ走っていますので、燃費はポロの圧勝でした。
では、また。