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2010年9月 8日 (水)

千年女優。

先日書いた「パプリカ」の記事の続きなのですが、壮絶な遺言を残して先日亡くなってしまったアニメ監督の今敏氏の初期作品「千年女優」を観ました。

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いやー、これも凄かった。とても面白かった。ストーリーは単純な純愛の物語。しかし、この監督独自の世界、現実と夢、妄想が混ざり合い、物語の中で行き来する内にその境が曖昧となり、一つの世界になってエンディングへと向かう作品。この脚本と展開の構成力は見事。こんなアニメ観たことがないし、映画でもないなあ。

あらすじ。

女優、藤原千代子は30年前スクリーンから姿を消してしまった。当時の「銀映」スタジオが取り壊されることになり、とある映像プロダクションがドキュメンタリーとして藤原千代子へインタビューを行う。人前に姿を現さなかった彼女が何故インタビューに応じたのか?プロダクションの男・立花が持ってきた鍵を手渡された千代子は、その半生を語りだす。少女時代の彼女が出会った、その鍵をくれた男。恋心を抱いた千代子はその男を捜し続け、女優になる。どこかで鍵の男が自分を見てくれるように・・。立花は何故千代子が無くした鍵を持っていたのか?千代子の思い出と出演作品の中ですべては語られていく。

予告編。

海外の映画祭に出品したようですが、時代設定とか外国の人にわかるかなあ?

この、平沢進の音楽が素晴らしい。このロタティオンという曲が良い。

平沢進、美しい裏声と歌う姿もある意味素晴らしいのでユーチューブで動画を探してみて。

とにかくストーリーって言うかその構成力なのです。

年老いた千代子が取材の中で思い出を語りだす。すると千代子のファンでもあるプロダクションの男・立花とカメラマンの二人はその思い出の中に入ってしまう。そして思い出の世界の中でカメラを回し影から見ながら取材が始まる。現在と過去の融合。

女優になった千代子の作品が始まる。その作品のすべてが一人の男を千代子が恋焦がれ探し続けるというもの。少女時代の満州から始まり、戦国時代の姫君、忍者、江戸時代の花魁、幕末の町娘、明治時代の女学生、戦時中の娘。その作品の中で、千代子を助ける役として立花が出演するようになる。それを撮影するカメラマン。そして作品の撮影シーンから千代子の思い出の世界が重なる。過去と映画作品と立花の妄想の融合。

作品に出て来る敵役の大女優、あやかしの老婆、頬に傷のある鍵の男を追い続ける男が絡み合う。んん?頬に傷のある男は千代子の過去で実在の警官であったのに、映画作中で新撰組や憲兵になって出てきたり、ホラ、重なる世界の境が曖昧になってくる・・。

そして、立花も現実の千代子の思い出の中に存在していたのだ・・。

昭和30年代から多作となり、怪獣映画の科学者、SF映画の宇宙飛行士と映画は続くが・・。

宇宙映画は「2001年宇宙の旅」のようなシュールな世界。(あれは1968年の映画だったよな・・。千年女優は2002年公開だから30年前は1972年。近いなあ・・)その撮影中に起こる地震、そして事故。その直後に千代子は姿を消す。この作品は冒頭の地震のシーンから、物語が展開する場面に地震のシーンが重なる。

エンディングは・・。

もう観たことのある人に問いかけですが、最後の宇宙船の台詞のシーンは、直前の地震であのセットは崩壊し、千代子は姿を消す。つまりあの宇宙船の最後のシーンは映画としては実在しないのではないのか?酸素マスクをつけた千代子と宇宙服の千代子の声は同じ感じにしてある。臨終の千代子があの台詞を語り、宇宙船に乗った映画のシーンとして永遠の旅に飛び立つ。ではないかと思ったのですが。だから立花のもう2度と戻って来れないんだぞ、という台詞が意味を持つのでは。

すごい作品でした。この監督の才能はスゴイ。もう新しい作品が観られないのは残念です。現実と夢と妄想の混濁する世界、その境が曖昧になり一つになってのエンディング。この今氏の作品に見るイメージは感嘆します。時代劇の殺陣のシーンでのカメラが揺れている演出とか技術も素晴らしい。

大人が鑑賞できるアニメをお探しの方は是非どうぞ。

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