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2013年4月22日 (月)

うみべの女の子。

漫画レビューです。

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私の好きな浅野いにおさんの最新作「うみべの女の子」です。

綺麗な表紙ですが、はっきり言ってエロです(笑)。大人な男女に読んでもらいたい、切なく酸っぱい、この作者にしては真正面から描いている恋愛作品。今回は未成年の方はご覧ならないように。

連載開始から最終話まで2009年~2013年と4年掛けてじっくりと作り上げた作品。久しぶりに次の巻が待ち遠しかった漫画です。

うみべの女の子・1~2巻(完結) 浅野いにお著

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太田出版Fコミックス。

あらすじ:海辺の町で暮らす平凡な中学生「佐藤小梅」は、憧れの先輩に振られてしまう。その日に自分へ思いを寄せていた同級生「磯辺」を呼び出し体を重ねてしまう。磯辺の思いとは逆に小梅は交際もキスをも拒む。その後も思いが重ならないまま体を重ねる二人。

磯辺はこの海辺の町に越してきてから兄を自殺で失っている。学校では真面目な小梅は磯辺の前では違うキャラになってしまう。磯辺は兄の幻影を見ながら屈折し自分の心に閉じこもるように。徐々に磯辺に思いを寄せる小梅に対し、磯辺は小梅と距離を置こうとする。

・・・この話ね、小梅ちゃんはどんどん可愛くなっていくが、不幸なことは磯辺があの若さにして変態的なエッチを望むところだ(笑)。通販でア○ルボーイとかいうバ○ブを自分用に買ってるし。

この二人はエッチは散々やるが、最後までキスをしません。これが一つのモチーフになってるんだよね。最初キスをせがむ磯辺に対して拒む小梅。体を重ねても何かが足りないことに気付くが、最後キスをせがむ小梅を磯辺は拒絶する。

手を繋いで眠るシーンだけが唯一二人の心が重なったところなのかな。

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二人の最後はほんとに切ないんだ。

エッチシーンがこんなに無くてもこの作品は十分成立するんだけど、なんていっても連載している雑誌が「マンガ・エロティクス・エフ」というちょっとエッチな作品もある雑誌。

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私の好きな漫画家山本直樹が編集に携わっているようです。「僕とおませちゃん」という連載が好きです。

うみべの女の子のエッチシーンは、なんか山本直樹っぽい?山本氏からリクエストがあったのか、浅野氏が意識して描いたのか・・。

この作品の良いところは最終話。最後にその後の話を書く作品は好きなんです。

すっかり女子高生になった小梅は髪を伸ばしてかわいくなった。最終話に磯辺は出てこない・・。

小梅は磯辺の言ったとおりの女子高生になったのか。「何が悲しいって、きっと佐藤は高校行ったら今日のことなんてしれっと忘れて、それなりの男を普通に好きになってまるで初めてみたいなセ○クスするんだ。・・・人前でう○こ漏らした事あるくせに」って磯辺、お前が漏らさせたんだろうが・・。

この最終話の綺麗さはどうだ、何気にいつも作品に毒を盛っているこの作者にしてはちゃんと終わらせているよ。

小梅と磯辺はお互いを苗字でしか呼び合わなかったけど、新しい彼氏とは名前で呼び合おうとしているんだよね。

1巻冒頭のモノローグは、最終話の小梅の台詞になっているところを見逃さないようにね。

画も良いよ。最初と最後はさすがに4年も経つので絵柄はちょっと変わった。

舞台は、関東の海辺の町。出てきた風景に見覚えがあるので調べた。以前私が行ったことの有る、茨城県の大洗町だ。1巻最後の大きな鳥居が出てくる風景は大洗シーサイドホテルから見る景色。鳥居の神社は大洗磯前神社。小梅がよく歩いているカーブはその先の大洗岬のカーブね。最終話は水戸が舞台。

小梅が嵐の中を磯辺を探すシーン、鳥居のある岩は日立市の河原子海水浴場の烏帽子岩ですね。かなり大洗からは離れています。中学生がビニール傘をさして道を横断するシーンは横須賀の馬堀海岸だけど。二人が良くいる海岸の防波堤はどこかわからないなあ。

色々な場所を組み合わせてある。けど作品の設定としては大洗町のようです。

この背景、デジカメで撮影したものをトレースしている?浅野氏は以前からやっている手法だけど、これを作品に入れ込むことはかなり大変だと思うしセンスが問われる。

以前、私の青春時代に好きな漫画家の江口寿史氏がツイッターで、浅野いにおと「アイアムアヒーロー」の人の描く背景について批判した。こういう背景ばかりになる危機感を訴えた。大友克洋のように手書きで精細な画を描けよってことか。

その後ちょっとした論争になったんだけど、江口氏の奥さんが旦那さんを怒って終了。3人で謝り合って大人の終わり方をしたんだけどね。

この背景、まず取材してこの画像を撮影するのも大変だし、写真そのものもなかなか良い風景を撮っているんじゃないか。小梅が台風の中で磯辺を探すシーン、あの写真撮った時は嵐じゃないだろうに、作品に上手く入れ込んでいくのはセンス。素敵だと思う。この人は映画のような漫画を描きたいんじゃないのかな。この作品も全編大洗町ロケで映画化されないかなあと願うよ。この年齢設定じゃ映像化は難しいけど・・。

あと音楽も効果的。磯辺は昔の日本の音楽が好きだ。はっぴいえんどの「風をあつめて」が効果的に使われているし、小梅がゴミ箱に捨てたのはアルバム通称「ゆでめん」だ。そして最終話では昔の邦楽が好きな小梅になっている。昔の男の影響って残るんだよね。昔の彼女が自分の影響を残していると私はとても嬉しいし・・。

これはなんか甘酸っぱくて、とても切ない作品です。是非読んで下さい。エロいけどな。

浅野いにお氏の他の作品もまとめてレビューしますと・・。

お勧めは、ソラニン1~2巻、素晴らしい世界1~2巻。

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ソラニンは傑作だけど、今読むと真面目すぎるかな。ちゃんと話になっている作品(?)。以前レビューしています。以前書いたソラニンレビュー記事

初期の傑作、素晴らしい世界1~2巻。これは良いよ。面白い。読み切り作だけど話が繋がっている。画も今と違って素朴な線で味があるよ。背景も今と違って手書きだし。結構背景描けるんだなあ。これはお薦めです。

おやすみプンプン。

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これは5巻くらいまで面白かったが、最近の話は暗すぎて絶望的だ。どうしてこんなになっちゃたんだろう?プンプン好きな人はソラニン嫌いだって聞いたことがあるけど、こうなったらどうなんだろう?最後はチンクルの神様でも出てきて救いがあるのだろうか?

虹ヶ原ホログラフ、ひかりのまち

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うーん、凝った漫画ですが・・。ちょいと若気の至りっぽい理屈っぽさが。これを読むのは最後で良いかなあ。

これはお薦めの短編集、。世界の終わりと夜明け前。

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短編の読みきり集ですが、話が繋がっている?右目の下にホクロの有る女の子が魅力的、なんか良い作品。素敵な世界。うみべの女の子が気に入ったらこれを読んでほしいな。

順番としては、うみべの女の子→(ソラニン読んでいなければソラニン)素晴らしい世界→世界の終わりと夜明け前。

ファンになったらその他の作品を読もう。

まずは、うみべの女の子、読んでみて。エロ好きな人もそうじゃない人も。本屋で買うのが恥ずかしい人はポチっとしちゃってください。

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